前回に続き、質問に対する答えの残り。
けっこう、答えづらい質問を後に回してしまったため、後半は濃い話になってしまった。
ちょっと失敗したと思った……(笑)
これはハッキリ言って作品による。
……というか制作スタッフの意向による、といった方が正しいかも知れない。
局部を描かない場合、一番の理由はどうせモザイクが掛かっちゃうんだから描いても無意味だ、とする考え。
しかし、こういった考えは、最近少なくなっている。
前回書いたように、18禁アニメも、いまや海外セールスは無視出来ない状況にあるからだ。
特に北米では、ポルノに対する規制が違うため、そのまま局部描写をするのが普通であるから、そういったことを考慮して、ちゃんと描いている作品がいまでは大半を占めている。
ポルノアニメのごく初期は、絵だから大丈夫だろう、という理由によって局部が描かれていた。
そもそも18禁アニメという前例がなく、規制のしようがなかったからである。
しかし、結局ダメ、ということになり、アニメにもモザイクが掛かるようになったのだ。
また、たとえ局部を描いていなくても、その部分にモザイクは掛けなくてはいけないので、ならば、描いておいたほうがモザイク映えするから、という考え方もある。
モザイクを嫌ってアングルなどを工夫して、極力モザイクが掛からないよう工夫する監督もいるが、この場合、ひとつ間違えると、絵的なダイナミズムが失われてしまう場合もあるため、監督自身にかなりの手腕が必要だろう。
余談だが、モザイクで隠れてしまうその部分に、自ら作画修正を入れる凝り性な監督もいる。私はこういう監督が大好きである(笑)
最近は規制が大変厳しくなっており、モザイクが大きすぎて、一体なにをしているのかわからなくなってしまう場合が時々ある。
こうなってしまうのは、制作スタッフがそうしたかったのではなく、完成した作品でしか審査を受けつけてもらえないという事情があるからだ。
この程度なら大丈夫だろうと思って作ったものが、いきなりNGになってしまい、直す時間など普通ないので、やむを得ずモザイクを大きくして再審査を受けて無理矢理審査を通すわけだ。
なにしろ、ひどい時には、局部云々ではなく、絡む時の体位でも引っかかってしまうのである。
こういった問題の根本は、倫理規定がしょっちゅう変わるということにある。アニメは実写AVなどと違い、制作に時間の掛かるため、この変更に対して臨機応変に対応するのが事実上不可能である。
この審査は、日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)いずれか一方の団体に加入することで審査を受けられる。
審査を受けて保証を得ることで、流通に安心して扱ってもらえるという仕組みだ。実写もアニメも、この団体の審査を通さず無修正のものを出すこと自体は可能である。しかし、出した後、いつ警察に呼び出しを食うかわからないという商品を扱うのは、店も嫌だろうということで、このような自主規制団体が作られたのである
このふたつの協会は、倫理規定が微妙に違うので、また難しいのだ。この審査の流れについては、ソフ倫の公式サイトに詳しいので興味がある方はご参照を。
できることなら、アニメ作品専門の倫理協会を設立して欲しいと思う。
違いは、ほとんどない。
ただ、絡みのシーンはちょっと大変である。
始めたら最後、収録途中で切ることがなかなか難しいのである。
途中でとちったり、セリフを間違えたりすると、また頭からやり直しになる。
あえぎ声は声を消耗するので、なるべく一発勝負で終わらせたい。
そういう意味で、絡みシーンの収録は、通常のアフレコよりも、スタッフも役者も緊張度が高い。
ただ、あえぎ声と言っても、あーあーひーひー言っていれば良いわけではなく、シチュエーションやキャラクターによって演じ方は変わるわけだが、このシーンほど、役者の技量の違いが如実に現れるシーンも少ない。
また、舌を使うシーンも役者さんがマイクの前で実際に演じているのだが、こういう事が異様にうまい人がいたりして、普通のアニメでは絶対にわからない役者さんの才能をかいま見れるのも、アダルト物の面白さだ。
こういう質問は、質問というより、からかわれているのだと思うが、真面目に答えれば、私は恥ずかしくないです。
自分の場合、実写AVの会社にいたり、エッチな本の仕事をしたり、エロゲーの仕事をしたり、様々な業界を渡ってきたということもあるが、そもそも恥ずかしがる理由が特に思い当たらないのだ。
だいいち仕事であるし、いま言ったような業界にも、女性スタッフは大勢いるので、恥ずかしがってるほうが子供じみていて異様に見えたりする。
以前に何度も書いてることだが、そもそも人が望んでいるから、ポルノが存在しているわけだし、これが恥ずかしかったら、それを望む世間の人みんなが恥ずかしい存在になってしまう。
あまりに有名な話だが、宮崎駿氏も影響を受けたという、アニメ作家のフライシャー兄弟(*注)ですら、ポルノアニメを作ってるしね。それも戦前に(笑)
私は作品によって、吉岡たかをと、たかおかよしおいう名前を使いわけているが、これは契約上の理由で、18禁であるからとか、一般作であるからとかいう区分けはない。
一般的に、社名を変えるのは、アニメーションは、子供向けのメディアという認知があるので、同じ名前だと具合が悪いからという理由がある。
スタッフだとこの理由も様々。
なんとなく別な名前にしたほうがソレっぽいから、やっぱり恥ずかしいから、会社に内緒だから、など、聞く人によって全然違うので、一般的にはこう、という答えが出せない(笑)
※注
『ベティ・ブープ』『ポパイ』などを生み出したカートゥーンアニメの始祖。長編・短編を問わず優れた作品を制作している。
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