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第14回  〜エロメディアと、その存在意義〜

規制絶対反対、というわけじゃないっす

 3回にわたってメディア規制に対する感想を書いてきた。これまでの話で誤解して欲しくないのは、一切の規制を廃して、エロでもバイオレンスでも、なんでもかんでも垂れ流しちまえと言っているわけではない、ということ。
 なにしろ私は、エッチな雑誌やアニメの仕事もする送り手であると同時に、男女一人づつ未就学の子供を持っている親でもあるのだ。だから、送り手側の憤りも、世間一般の親の気持ち、そのどちらも理解することができる。
 実際、世間で起きている事件を観るたびに憂鬱な気分になる。未成年の凶悪犯罪が起きれば、長男もこんな風に育ったらどうしよう? と考えてしまうし、幼女が性的な事件に巻き込まれるような事件を見聞きすれば、我が事のように血液が沸騰する思いが駆けめぐる。
 だから、そういった不安感を取り除くために、メディア規制を声高に叫んでしまうのは、自分の子供を保護する本能を持つ親なら当然だとは思うのだ。しかし、それは不安感をとりあえず解消したい、という欲求を満たすだけで、なんの解決にもならないということは、前回までに述べてきたとおり。

持って生まれた趣味嗜好の問題

 最近問題視されているのは、生まれつき特殊な嗜好を持つ人とメディアの関連性だ。そういった嗜好持った人は、最初はあまり自覚がなく、本人が自覚するまで、表に出てこない事が多いらしい。
 例えば、ペドフィル(Pedophil)と呼ばれる現象がある。これは嗜好幼児性愛症侯群とも呼ばれるもので、日本で俗にいうロリコンというヤツだ。本当のロリータコンプレックスは少し意味合いが違うのだが、まあ言ってしまえば幼児に性的な欲望を抱く人達のことである。
 これは、なにかのきっかけで自覚しないと、一生現れないことも多いという。いままで自覚のなかったペドの人が、そういったメディアに触れ自覚してしまったため、犯罪に及ぶという事例は世界的にたくさんあるらしい。これを防止するには、メディア規制は確かに有効だというのは一理ある。特に子供の犯罪や子供に対する犯罪は、どちらも痛ましい。

「だからロリコンマンガは規制すべし!」
と決めつけるのは早計というものだ。よく考えなくてはならないのは、そういった嗜好の自覚を持った人が、全員犯罪に及ぶのか? というとそんなことはないということ。むしろ犯罪に及ぶ人間はごく少数で特殊な存在なのである。
 こういう話で決して忘れてはいけないこと。それは嗜好と人格は別物だということだ。ロリコンだから犯罪を起こすのではない。犯罪を実際に起こす素養を持った人間が、たまたまロリコンであったために、結果、幼児にいたずらをするような犯罪を引き起こすのだ。
 その犯罪者がロリコンでなく、別な嗜好を持っていたとしたら、その嗜好に沿った形の犯罪を起こす可能性が非常に高いのである。たまたまペド嗜好を持った人間でも、犯罪はいけないことだ、という抑制が利くのが人間として普通である。
 生まれつきそういう嗜好を持っているのだから、あくまで本人が悪いとは言い難い。そうした人達の抑えきれない衝動を発散するのに、そういったメディアは必要だと思っている。

私の被レイプ(未遂)体験

 恥ずかしい話だが、昔、新宿で男にレイプされかけたことがある。酒を飲んでいて意気投合した初対面の男に、個室に連れ込まれ押さえ込まれたのだ。腕力では絶対叶わないのはわかっていた。そのとき、一計を案じて難を逃れたことがある。
 それは、抵抗を止めて、相手の逸物を握って最後までしごき倒したのだ。私はそういった男色趣味はないため、心の底から厭だったが、男の生理上、射精させてしまえば一気に欲望のボルテージが下がる、という特性に賭けたのである。案の定、男はそれで満足したらしく、這々の体で私はその場から逃げた。ただ、その男に同好の士と勘違いされ、名刺を要求されたのは参った。断ると危なそうな気がしたので、たまたま財布に入っていたどこかのセールスマンの名刺を渡してしまった。顔も覚えてないその名刺の人物に対して、少々気が咎めたが…

 話が少しそれたが、つまり大抵の性犯罪は、ヌけばなんとかなっちゃう場合が多い、ということである。嗜好を簡単に変えるというのが難しい以上、そういった性犯罪を抑止するには、エロメディアを規制するのはかえって逆効果になる可能性があるのだ。

エロメディアは、人を導くほど凄くないっすよ

 当たり前だが、凶悪な犯罪を起こす人間は、その人間そのものに問題がある。メディアによる影響など犯罪の形に多少影響するだけで、根本的な問題ではない。
 個人に関する影響は、家庭などの環境の方が圧倒的に大きい。世間の親たちは、社会という曖昧なもののせいにして、納得しようとするが、社会に人格などない。人格のないものに責任を押しつけても、なんの解決にもならない。ただ、個人攻撃にならないから社会のせいにするのが一番ラクなだけだ。決して、少年犯罪や性犯罪は、ラクしたり、綺麗事ですますような問題じゃない。
 だから今回のメディア規制も、ラクして綺麗事で決められては困るのである。

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